刺繍の杜 オランダ生活記

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 アレイデスのリネン

アレイデスがたくさんのハウスリネンを見せてくれました。

さまざまな手法で刺繍されているテーブルクロスやセンター、ドイリーなど、どれも古いものばかりです。

「これは私のおばあさんから。」

「これはポールのおばあさんから、そしてこれは義母から」

どれも白地に丁寧に刺繍されたものばかりです。私の手芸好きを知って、古いものばかりを出してくれたのです。

何度も洗濯をして、回りのステッチがほどけてきてしまった物。

少し黄ばんでしまっていたり、刺繍そのものが擦り切れていたり。

でもその全てがきれいに洗濯をして糊付けされアイロンが当てられています。一つ一つを手にとって説明してくれるアレイデスを見ていると、これらのクロスたちは本当に大事にされているのだというのが伝わってきます。そうしてそれらのクロスは今でも使われているのだそうです。

「しまっておくと黄ばんでしまったり、しみが出来たりするでしょう?たまに使ってあげて手入れをしないとかわいそうなのよ。」

そうして出来てしまったしみや汚れは、「落とす努力」はするけれど、汚れる事を恐れて使わないと言う事はないのだそうです。

使えば汚れるのは当たり前、汚れたら洗濯をし、染み抜きをして

きちんとアイロンを当ててしまうのだそうです。

お嫁に行ったお嬢さんたちが集まった時、お客様の時、この古いリネンには出番がたくさんありそうです。

ホワイトワークや、かわいい小花のクロスステッチのテーブルクロス、その一つ一つの作品にはきっと膨大な時間がかけられているに違いありません。

その中から小さな白いコースターを一つプレゼントしてくれました。

「私の修道女の叔母さんが作ったものなのよ」

アレイデスが子供の頃、50年程前のものだそうです。

そんな大事なものを頂いて良いのかしらと心配する私に、

「あなたのように手芸が好きな人が持っていてくれればおばさんもきっと喜ぶわ」と言ってくれました。

一本の糸から作られた、レース編みのような、でもレース編みとは少し違うかわいいコースターです。

さっそく額に入れて窓辺に飾りました。

これを作った叔母さんは、50年も経った後に日本人の手にわたるとは思ってもいなかったでしょう。

私が今作っているセンターやドイリーも、長い時間を経て孫やその子供たちが「これはおばあさんが作ったものなのよ」と大事にしてくれるのでしょうか。

それは大変。気を抜いてずれていたり、まあいいや、とごまかしたりした所を見て大雑把な人だったんだなあと思われないように一つ一つ丁寧に刺さなくては。

2002@Miharu Shinohara