フェルブーム家の新居

 

息子がしばらくホームステイをしていた、フェルブーム家の新居が出来上がり引越しが終わりました。引越しが終わったというのは、古い家から荷物を運び込んだと言う事で、日本の新居への入居と言うのとは全く違います。

一応家は建っていて、壁紙、床、水まわり、電気などなどは仕上がっていますが、まだまだ日本の新築の家とは程遠い状況です。

3年程前に土地を手に入れたヨープとマヤーンは建築士と相談しながら自分たちでパソコンソフトを使って設計をしました。

私たちが住んでいる市では、どんどん外に住宅地を広げて新しい家が次々に完成しています。でも自分の家だからといって好き勝手に建てることは許されないのだそうです。イタリア地区、フランス地区、イギリス地区などにわかれており、そのあたりはほとんど同じような家が建ち並んでいます。

その外側にあるのが今回彼らが引っ越したアメリカ地区、そこは他の地区と違って一軒一軒が自由に設計できるようになっています。この自由にと言うのも、かなりの制限付きの自由にですが。このアメリカ地区、確かに昔テレビで見たアメリカ風で前の道路から家までの前庭がオープンになっていて、一軒がとても大きく開放的です。

ヨープとマヤーンには三人の娘がいますが、そのうちの二人はもう成人して家を出ており、高校生の娘が残っています。将来を考えて大きな平屋にし、年をとっても階段を上らなくてすむようにしたのだそうです。

家が建ってから、半年以上ほとんど毎日のように通って壁紙を張ったり、電気を取り付けたり、庭を整備したり、プールを作ったり・・・オランダ人が働き者と言うのは、きっと自分の家に関しては働き者と言うことに違いありません。

息子は学校帰りに、ご機嫌伺いに、とよく新しい家をのぞきに行っていました。「今日はヨープの書斎ができあがったよ!」「プールを掘っていたよ」などなど、気の遠くなりそうな作業が続きます。

新しい家には玄関脇に学生用の2部屋が用意されています。息子がお世話になったときは普通の家の子供部屋でしたが。

この二人は若い子達の世話をするのが大好きで、今でも息子をかわいがってくれています。誕生日の朝には息子の携帯電話に「ハッピーバースディ」を歌って起こしてくれり、もちろんプレゼントも用意して待っていてくれます。高校の卒業式にも出席してくれました。

ここから巣立っていった子達がいつ遊びに来ても良いように予備のベッドも用意してあります。

「外壁はレンガと木を使いたかったのだけれど、市からの許可が下りなくて結局レンガだけになってしまったの」

とっても残念そうなマヤーンです。

「そんな細かい事まで許可が要るの?」

「家の中は良いけれど、外側にはかなりの規制があるのよ」

オランダの街並みは、古いまま保たれているからきれいなのかしらと思っていたのですが、新しく建てる家にも細かい規制がありほとんどの人がぶつぶつ言いながら守っているのだそうです。

これならば数年前、横浜で起こった「ピンクのグラデーションのマンション」問題なんてこの国では起こらないに違いないと思うと、オランダがうらやましく思えてきました。

©2002 Miharu Shinohara