オープンマーケット

街の中心の無料の駐車場に週一度、青空市場がやってきます。

大きな市になると、あちこちで月曜日はこの地区、火曜日はここというように移動し、必ず家の近くに週一度は市場が立ちます。

私はこの市場が大好きで、言葉がわからないのに良く出かけます。

スーパーよりも、新鮮な野菜、しかも価格が安いのですから主婦としては嬉しい事です。同じような八百屋さんがたくさん並び、どこからどこまでが一軒のお店かわからないこともしばしば、「これちょうだい」と声をかけると、「それはお隣よ」なんて言われるここもあります。オランダ人は食べ物に執着すると聞いた事がありますが、それは味ではなく、量なのだそうです。とにかく量がたくさんないといけないというのです。この市場、量も半端ではありません。りんご5キロ、なんて買い方もするのです。でもオランダのアップルタルトを作る時はりんごを1キロも入れるのですから、どんなに多くてもすぐになくなってしまうのでしょう。日本のりんごみたいに1個いくらなんて立派なものは見当たりません。

マッシュルームばかりを売っているお店、ジャガイモばかりのお店・・・これは主食ですから日本のお米屋さんの感覚かしら。もちろんお芋の種類がたくさんあってこのお料理にはこれ、というように決まっているらしいのですが、それを5キロ、10キロと買っていきます。一度5キロの袋を半分だけ買った事があるのですが、「そんなに少なくて良いの?」と驚かれた事があります。ジャガイモばかりそんなに食べられませんからね。

ここで仕入れるのは、お魚。オランダは海がたくさんあるので、もっとお魚を食べるのかしらと思っていたのですが、スーパーマーケットでは端のほうに、本当にすこしだけ置いてある程度です。この青空市場には名前が良くわからないお魚もたくさんありますが、さば、鯵、いわしなんていう懐かしいものも並んでいます。

その他に、生地やさん、洋服やさん、靴屋さん、手芸材料とさまざまなお店がやってきます。同じ物を商店街で買うと高いのでミシン糸、ファスナー、ボタンなどの小物なども絶対ここで買うことにしています。

ある時、八百屋さんで買い物をしたらチラシを渡されました。

「お引越しのお知らせ」だそうです。

「私たちは、来月からスーパーマーケットの反対側の駐車場に引っ越します。」

次の月から、別の駐車場に全く同じ配置でこの青空市は出現しました。まるで一軒の大きなお店がそのまま別の場所に移動したようで、なんだか楽しくなってしまいました。

 

©2002 Miharu Shinohara