引越し−その2−

 

オランダの貸家には3通りあります。まず「家具付きの貸家」文字通り家具、生活用品(電気製品、食器まで)全てついているのでその日から暮らせます。次に「壁紙と、カーペット付きの貸家」最後に「何も付いていない貸家」。エーッ、壁紙とカーペットがない?オランダでは貸家というと壁も床もコンクリートのまま…というのが一般的なのだそうです。家のインテリアにうるさいオランダ人は、壁紙もカーペットも人がそろえたものは気に入らないのでしょう。

海外赴任の人たちは日本人に限らず「家具付き貸家」を借りるのが普通のようですが、私たちは家具、電気製品その他全て持っているので家具無しを探していたのです。それがなかなか家が見つからない原因でもありましたが。前任者から引き継いだ年代ものの家具や電気製品は「前任者の遺産」と呼んで、今では我が家の一員です。

ゴーゴーと音ばかりか、本体も重く大きな掃除機、「西ドイツ製」のコーヒーメーカー、アメリカ製で変圧器が必要な電子レンジ。

一体いつ、誰が買ったのか、それすらもわからないような古いものたちですが今でもしっかりつかえるものばかりです。

今回見つかった家は何も付いていない「カール」と呼ばれる貸家です。

とにかくカーペットを引かなければ何も運び込む事が出来ません。これは専門家にお任せです。壁紙・・これが問題でした。見に行った時はあったのですが、その後、しみがある部分を切り取ったというのです。「切り取った?」不安になる私たちですが、この家は全く何もついていないという貸家なのでなくても仕方ないのだそうです。

鍵を受け取って「切り取った」壁紙を見て大笑いしてしまった私たちは、すっかりオランダに慣れてしまったのでしょうか。

居間の一方の壁が半分から下だけ切り取られています。全部張り替えるのは大変なので、全く違う色でペンキでも塗ろうかということで一件落着。何があっても動じない図太さはしっかり身に付いています。

さて次は引越しやさんです。数軒から見積もりをもらって一番安くて、親切そうなところに予約をし、結局家が決まってから2週間と言う速さで引越ししてしまいました。

「元気にしてる?」

引越しの数日後仲良しのスージーからの電話がかかりました。

10回を越える引越しをしても、そのたびに残してくるものの大きさが年を重ねるにつれ大きくなっていくような気がします。

©2002 Miharu Shinohara